石持浅海

■ 水の迷宮  石持浅海  カッパノベルス   あらすじ  三年前、不慮の死を遂げた片山の命日に事件は起きた。首都圏の人気スポット・羽田国際環境水族館に届いた 一通のメール。  そして、展示生物を狙った攻撃が始まった。姿なき犯人の意図は何か?自衛策を講じる職員たちの努力を嘲笑う かのように、殺人事件が起きた! ――すべての謎が解き明かされたとき、胸を打つ感動があなたを襲う。  この本にはサブテキストというものがついていてかなりこの作品に対して力を入れていることが感じられます、が。   水族館が舞台のミステリというのは初めてでしたが、その特殊な環境をよく活かした話だったと思います。  水族館という制限によってサスペンス的な緊張感が高まっていました。  ミステリ的なものに関しては論理的だとは思うものの物足りなさを感じます。  この作品のメインはサスペンスと人と人とのつながり、そして最後に待っているらしい感動となっています。  私にはどうも最後はうまく行き過ぎな印象で感動はなかったです。  殺人をそんなに重く考えていないのかと感じられる展開のせいか感動と言われてもピンときません。  記号的に殺人を扱うならともかく最後に感動させようとしているのに、かなり描写が足りないのではと感じます。  感動させようとしているというのは伝わってくるのですが……   他に気になったのは登場人物達のやけに説明的な科白でそんなのがあるたびに現実に引き戻されました。   私は作者は女性かと思っていましたが、サブテキストの表紙でポーズを決めている作者は男性できれいな  加藤紘一といった感じの方です(他の写真を見るとそうにてもいないのですが……
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