アイザック・アシモフ
□ 黒後家蜘蛛の会シリーズ アイザック・アシモフ 創元推理文庫
完成された様式美
黒後家蜘蛛の会には特許弁護士、作家、画家、数学者、化学者、暗号の専門家が揃っている。
この会には謎が持ち込まれることがあるが、その謎を解くのはこれらの面々ではなく、いつも給仕の
ヘンリーだった。
という内容の短編集で、ほとんどの作品がこの形式で書かれています。
博覧強記のアイザックアシモフが繰り出す謎は多種多様で、さらに登場人物たちがその謎に対し
各々の知識から仮説を立てるので知識の海に飲み込まれるかのような感覚があります。
ただ、出てくる知識が日本人にはなじみのないものが多いためか、解決の際の爽快感という
ものには欠けています。給仕のヘンリーの活躍が一番の楽しみですが、彼が出てくるまでの推理は
違っていると読む前から分かっているためか、真剣に読まなくても良いかなと考えてしまうこともありました。
読む方としては盛り上がれない所もありますが、実際にこういった謎をみんなでああだこうだと
推理するのはとても楽しいだろうなと感じさせてくれます。私がネトミスに入った理由の一つには、
謎をいっしょに考えてくれる仲間が欲しかったからというのがあるので、こういった形式のミステリは非常に
好みです。