有栖川有栖

■ ロシア紅茶の謎 講談社文庫  国名シリーズ第一弾、5分で読めない5分間ミステリ的作品。  モロッコ水晶の謎が一番良かったとBさんに教えてもらったのですが本屋になかったのでとりあえず シリーズのはじめから読むことに。  小説家有栖シリーズは長編を読んでないのですがそれでもあまり問題なく読むことができました。 なにせ毎回各話の冒頭で火村と有栖の説明が入るため、嫌でも設定を覚えることができます。他にも 毎回と言っていいほど描かれる火村たち部外者に向けられた敵意には、もういいよといった感想が湧き ました。  ただこれらの点も一冊を通して読むのではなく、暇なときに一話づつ読み進めれば気にならないでし ょう。わざわざ時間をとって読むとがっかりするような内容でしたし。  最後の話は本格ミステリらしい推理の過程が楽しめました。表題作はトリックはともかく好きになれ ませんでした。(こういう嘘の証拠を突きつける作品は嫌いです)  他の作品において、火村の推理は仮説で最後は警察の捜査による証拠に任せるというところは、いき なり自白を始める犯人に比べれば好感が持てます。  全体的にちょっとしたトリックを有栖川さんの文章力で何とかしたという印象が強い作品集でした。 自分も冗談ぽいことは言うのに、有栖の冗談には異常に厳しい火村がどうも好きにはなれません。 他にも台詞に関西なまりが入るのも違和感があります。  小説家有栖シリーズの試金石として買うなら良いかもしれません。私も短編はともかく長編は読んでみ たくなりました。 ■ ブラジル蝶の謎   講談社文庫  国名シリーズ第三弾、やっぱり5分で読めない5分間ミステリ的作品。  スウェーデン館の謎がなかったので一つとばして買いました。それでも特に問題なし。 ロシア紅茶の謎の時と同じような印象、さらにトンデモ度が上がっていました。ネタが 切れてきたのか無理矢理な感じが目立ちます。謎が解き明かされると脱力する作品が多か ったです。  表題作が一番ましな内容だったと思います。ただ長編の方を読まないとよく分からないよ うな事が書かれていて、そこだけが不満でした。  気軽に暇つぶし的に読むのには良い作品でしょう
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